桃の節句

「桃の節句」は、節句の中で、とりわけ「女の子」に向けたお祝いの日。

さわやかな日差しの中で雪解けがはじまる季節。

「上巳の節句(じょうしのせっく)」は、桃の花が咲きはじめる頃に迎えることから「桃の節句」と言われます。
女の子を持つご家族が、雛人形を飾り、健やかな成長と幸福を祈る日として「ひなまつり」があります。

雛人形は、古来より、厄災・厄病を身代わりとして引き受けてもらう依り代とも言われ、女の子を持つご家族が、「災いが降りかからないように」という願いや、「人生の幸福が得られるように」という成長と幸福を祈る気持ちが歴史を紡ぎ、今日のお祝い文化、お節句となりました。

初節句とは?

初節句の祝いは、一生に一度のはじめてのお節句のことを言います。
「お宮参り」や「お食い初め」と同じく伝統的な行事・儀式です。ご家族でお祝い膳を囲み、生まれてきてくれたことへの感謝と、これからの健やかな成長への思いを込めてお祝いをします。


生まれて間もない1月・2月生まれの女の子は、生まれてすぐに桃の節句を迎えることになります。そうした場合、お祝行事が立て続けに行われるため、生まれて間もない赤ちゃんとお母さんの負担になることもあります。他のお祝い行事と違い、初節句は生後何日にお祝いするという目安がないのが特徴です。
赤ちゃんの一番最初の儀式となる「お宮参り」が済んでいるかどうかを基準に、「初節句」をいつにするか考えると良いでしょう。お宮参りより先に初節句が来てしまう場合は1歳になってから、初節句のお祝いするお子さまも多くいます。地域によっても旧暦でお祝いするなど、文化やお祝いの仕方も違いますので、ご家族と相談すると良いでしょう。

桃の節句を知る

桃の節句・・・上巳 の節句 (3月3日)


季節の節目を意味する「節句」は、昔から邪気が入りやすい時期といわれ、様々な年月・知恵により、文化が受け継がれてきました。古来より、日本の風習にあった、「禊祓(みそぎはらい)」や「人形(ひとがた)」を流して邪気を払う風習が、中国で行われていた「上巳の節句は川で身を清めたり、宮中で宴席を催す」などの災厄を祓う習わしと結びつきました。
平安時代になると祈祷師を呼んで祈りをささげ、人形をなでて厄を移し、供物を備えて水に流すという祭りが毎年行われるようになり、日本では「流し雛」として、お雛飾りのルーツになりました。

同じ平安時代には、上流階級の女子の間で「ひいな遊び」という、紙で作った人形と家財道具に似せて作ったおもちゃを使った“ままごと遊び”が盛んに行われていました。当時の随筆や物語にもそのような場面が登場します。室町時代ころになると、上流階級では人形を飾り、3月3日に祭りの日が定まってきたようです。

江戸時代になると、宮中行事として雛祭りが取り入れられるようになりました。幕府の大奥でも取り入れられました。

一方、このころになると庶民にも雛祭りが広まり、女の子の初節句を人形を飾ってお祝いする形が生まれました。江戸時代初期は内裏雛一対だったものが、江戸中期には段飾りが登場し、三人官女をはじめとした雛人形や雛道具の数が増えていきます。

お雛様はいつから飾るの?

 

 

2月4日頃~2月19日頃

立春(りっしゅん) ~ 雨水(うすい)

 

二十四節気の「立春」明けから「雨水の頃」に飾るのが一般的とされています。

「雨水」とは、降る雪が雨へと変わり、雪解けが始まる頃。山に積もっていた雪も川へと溶け出し、田畑を潤します。

 

節分の2月3日(節分は鬼を祓い)、翌日「立春」を開けて以降のお日柄が良い日や、「大安」に合わせて飾るのが良いとも言われています。ひなまつりの歴史から分かるように、雛人形は「水に関係する行事」として伝えられ、厄を移した人形を水に流していたことに由来します。水が豊かになる「雨水の頃」は雛人形と相性がよく、その頃に飾ると良縁がもたらされると考えられていました。

 

中に、「1月から飾ってはダメですか?」というご質問もいただきます。
三月掛け(みつきがけ)にあたるので、縁起が悪いと考える方もいます。

 

◆「三月掛け」とは?◆

 

三ヶ月に渡ると「終始苦労が身に付く」と言って縁起が悪いと考える人がいます。その理由は、語呂合わせからきていると言われています。四十九日、三月またぎ、も同様に「始終苦労が身につく」として、仏事だけでなく、冠婚葬祭では縁起が悪いとして忌み嫌われています。

しかし、冒頭に述べたように語呂合わせであり、「あまり遅くならないように」という意味を込めて伝わっているものと思われます。旧暦でお節句を行う地域もあるので「三月掛け」を特別気にすることはありません。 

お雛様は誰が贈るの?

  

雛人形は母親の実家(祖父母)から贈るのが一般的です近年は結納をしない夫婦も増えていますが、昔の日本では、結婚には嫁ぎ先の家が結納金を、嫁ぐ家が嫁入り道具を用意するのが一般的な習わしでした。その為、雛人形以外にも、お宮参りの晴れ着やはま弓、羽子板、鯉のぼりや旗など、子どもの成長をお祝いするお飾りのほとんどは嫁入り道具として扱われていたのです。

 

◆時代の変化と共に◆

近年では、核家族化やライフスタイルの変化が進み、しきたりにこだわりすぎず、柔軟に考える親御さんが増えています。両家でお金を出し合うケースもあれば、男側が用意することもありますし、両親に頼らず、自らがお金を出して購入するケースもあります。