【羽子板とは?――羽子板の歴史】
今日では、女児の成長を祝うきらびやかなお正月のお祝い飾りとしての「羽子板」が一般的ですが、歴史に基ずく習わしでは、室町時代より、宮中で新年のお祝いに女性同士で羽根つきをして遊んでいたことがはじまりになります。やがて、厄払いとしても使われるようになり、魔除けとして女性に贈る縁起物・飾り物として【羽子板飾りのお祝い】となりました。
【羽子板はお守り】
古来より「季節の変わり目には、邪気(鬼)が生じる。疫鬼(えきき)が民に病や災禍をもたらす。」と考えられていました。
特に、一年の境界である大晦日は、『鬼門(きもん)』(大晦日=丑寅間=東北=鬼の出現する門、「鬼門」となった)から、特に悪い鬼(邪気)が出てきて悪さをするため、病気になったり災厄が起こると考えられています。
【羽子板】はそうした邪気から、病や災いから赤ちゃんを守るためのものとして飾られています。また、12月から2月までの間、寒さは更に深まり、流行り病や災いなどから無事にその時期を越せるように、初正月に羽子板や破魔弓を贈り「子供のお守り」とするようになったのです。
本来の羽子板はでは、羽先の玉に「無患子」と言う木の種が使用されています。「子供が患わない」という意味も含まれており、羽の形をトンボの羽に見立てて、(トンボが蚊を食べる益虫であることから=蚊は疫病を運ぶ)、お正月に羽根をつくと夏になっても蚊に食われることがないと信じられてきました。
現在の医療技術が発展した社会でも、子を思う親の気持ちは変わりませんね。
【いつから飾るの?】
日本の風習で12月13日を『正月事始め』と言い、門松やしめ縄を用意したり、羽子板や破魔弓などの正月飾りを飾ったりと、お正月の準備をはじめます。
そして、1月15日の『小正月(こしょうがつ)』までの約1ヵ月の間、飾る方が多いです。
【お子さまのお守り】
ー七五三の羽子板ー
また女児の【七五三】では、魔除け・お守りとして初節句にいただいた【羽子板】を持たせ、【七五三】の由来と共に、お子さまを守り成長を祝います。
【羽子板と雛人形】を一緒に飾る
そのほかにも、【桃の節句】の雛人形と一緒に飾るという地域があります。
羽子板を一緒に飾ることで、雛人形が受ける災いをも、一緒に〈はねのける〉とされています。
〈跳ね除けていいの?〉って思いますよね?
しかし、そこにも家族の愛が詰まった意味がありました。
お子さまが成長し、親元を離れる時に穢れのないお雛様と共に娘を送り出すために、【羽子板】を子供とお雛様の「お守り」として一緒に飾るのだそうです。
お雛様は自分の身代わりと言ってもなかなか買い替えるものではないので、羽子板は〈お子さまとお雛様を守るお守り〉として、とても大切な役割を担っているらしいのです。
今日では、お正月に【羽子板】を飾るという習慣を知らない方も増えてきています。それは現代では、昔とは違い、子どもたちの多くが健康に生き、成長していけることが当たり前になったからかも知れません。
それはとても喜ばしいことではありますが、こうした【思い】を届ける【日本の文化】を大切に過ごしていけるライフスタイルを持ち、子どもだけでなく、私たち親の世代。家族の皆さまと共に思いを分かち合いながら、めぐる季節の中で思いを伝えていけたらと思っています。
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