二十四節気 第24番目
【大寒(だいかん)】
1年で一番寒さが厳しくなる頃。
24節気の最後の節目となります
次の節気は第1番目【立春(りっしゅん)】暦の上では春を迎えます。
毎年、各地で最低気温もこの時期に記録されることが多く、大雪や寒波の影響も出やすくなります。しかし、春の伊吹を感じ始めるのもこの頃。
寒さも底を付けば、少しづつ温かくなり、蕗の薹の花が雪の中から顔を出し始める季節です。こうして少しづつ、季節の隙間から春が訪れてきます。
【大寒】は、前節気【小寒】からひきつづき【寒(かん)】の習わしが中心となります。大寒の最終日には、冬と春の節目として【節分】があります。
それでは、順を追って【大寒】の習わしをご紹介。
1.【寒中見舞い】
この頃に、寒さを気遣う季節の挨拶状として【寒中見舞い】を送る風習があります。
寒中見舞いは、一年の中で最も寒い季節に相手を気遣い、お互いの近況を報告しあう季節の挨拶状として送ります。その他には、喪中で年賀欠礼したこと訃報が行き届かなかったことへのお詫び、喪中の相手を気遣うお見舞いなどの内容が一般的。最近では、年賀状やお手紙を投函する習慣を持たず、メールやSNSなどで、このようなやり取りが行われているかもしれませんね。
寒中見舞いを送る時期は、<松の内が明ける日>から<立春まで>の寒の内とされています。
2.【寒仕込み】
前投稿【小寒】を迎え9日を過ぎた頃を「寒九」と言い、「一年でもっとも水が澄む日」と言われ、その水を使用し、今の時期ならではの日本らしい食文化があります。
ーーー 寒仕込みとは?
元々は日本酒の製造で使われた「寒造り」という言葉が元になっています。「寒仕込み」は、お醤油やお味噌、日本酒を「寒」の時期に仕込む事を言います。
なぜ寒い時期に仕込むのでしょう?
1.冬は気温が低く雑菌が繁殖しにくいため、カビが生えにくい。
2.低温でゆっくり時間をかけて発酵を促すことができるから旨味を引き出せる。
3.秋に収穫したばかりの新鮮な大豆や米を使って仕込むことができる。
発酵食品を作る上で温度管理がとても重要で、寒さによって雑菌が混入しにくい事や低温でゆっくりと時間をかけて発酵させると、うまみを引き出し熟成させる事ができると言われます。
日本酒の仕込みはで、きめ細やかで良質な酒に仕上ると言われ、昔は「寒酒」と呼ばれ特別なものとして扱われました。
その他にも「寒卵」「寒蜆」「寒海苔」などがあり、寒の時期のものは上質で栄養価も高いといわれています。とくに大寒に産まれた卵を「大寒卵」と呼び、尊ぶようになりました。
◆「大寒卵」とは?
【大寒】の七十二候<末候>では、【雞始乳(にわとりはじめてとやにつく)】と言われる時期になりいます。すなわち、春の気配を感じた鶏が卵を産み始める頃。
現代では養鶏が中心となりましたが、本来、鶏の産卵期は春から初夏にかけてしか生まれない貴重な食品でした。今は季節を問わず店頭に並ぶため、旬の感覚は薄いですが、卵の旬は2~4月。寒い時期に母体の中でゆっくり時間をかけて成熟していくため、栄養価が高くなるといわれています。これは有精卵の場合のみで、無精卵は一年中、味わいや質に変化はありません。
3. 節分 (せつぶん)
季節のはじまりと、その前日の季節を分ける日を【節分(せつぶん)】と言います。
【節分】といえば、【立春(りっしゅん)】(2月4日)の前日が有名ですが、本来ですと【節分】は1年に4回訪れていることになります。
旧暦の【立春】は新年であったため、その前日に邪気を払う目的ではじまったのが由来とされており、現在の大晦日のような日であったといわれています。今では立春の前日のみが【節分】として残り、年の1年の無病息災を願う行事として豆まきをおこなったり、恵方巻やイワシを食べる風習が残っています。
◆恵方巻
2024年の恵方は「東北東」向き!
恵方とは、歳徳神(としとくじん)が司る方向で、その年に定められた縁起の良い方向をさします。恵方巻は「福を巻き込む」という意味を込めた巻き寿司のため、を食べるときは、その方角に向かって食べると、より良い福を招くと言われます。
恵方巻を切り分けずに1本そのまま食べるのは、巻き寿司が福やご縁を巻き込み、1年の幸せや願いが叶うよう「縁を切らない」ため、無言で食べるのは「口から福が逃げない」ようにするためといわれています。
古来より縁起が良いと言われている7種巻きの具材が一般的ですが、最近ではさまざまな恵方巻がありますよね。恵方巻に決まりはありませんので、年に一度も節分を、ぜひお好きな恵方巻きでお楽しみください。
【大寒】の頃七十二候では下記のように表されています。
初候<第七十候「款冬華(ふきのはなさく)」>
2023年1月20日~1月24日頃
雪の下から蕗の薹が蕾を出す頃
厳しい寒さの中、雪に覆われている地面からフキの花がぽつりぽつりと顔を出す頃。春の訪れが近いことを少しづつ感じせてくれる、嬉しい時期。
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次候<第七十一候「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」>
2023年1月25日~1月29日頃
流れる川の水さえ凍り、厚く張りつめるほど寒い頃
水はいよいよ冷たさを増し、1年の内で最も寒い時期となります。この頃は大陸からの強い寒気が入りやすく、記録的な大雪や最低気温をもたらします。
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末候<第七十二候「雞始乳(にわとりはじめてとやにつく)」>
2023年1月30日~2月4日頃
春の気配を感じた鶏が卵を産み始める頃
現代では養鶏が中心となりましたが、本来、鶏の産卵期は春から初夏にかけてしか生まれない貴重品でした。今は季節を問わず店頭に並ぶため、旬の感覚は希薄ですが、卵の旬は2~4月。寒い時期、母体の中でゆっくり時間をかけて成熟していくため、栄養価が高くなるといわれています。
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大寒の時期は1年で最も寒い時期でもあり、自宅で過ごす時間も多い時になります。寒の内は旬を迎える食べ物で体力作りをするのがおすすめです。大寒の行事に参加したり、旬の食べ物を使って料理をしたりと、大寒の寒さを実感しつつ、大地では春の気配も感じられる頃になります。
少しずつ、春に向けての準備をしましょう。