二十四節気 第22番目【冬至(とうじ】
一年でもっとも昼が短く、夜が長い頃。
【冬至】とは「日短きこと至る(きわまる)」こと
昔の人々は、寒さも深まるこの頃には作物がほとんど取れなくなり、これから増していく厳しい寒さの中では、冬を越すのがとても大変なことでした。
「太陽の力が弱まり、陰極まれば、穀物だけでなく人間も万物みな衰えてる」
太陽は閉ざされ、空気は冷たく、植物は枯れ、動物たちもあまり見ない冬の頃。そんな中で、最も夜の長い冬至は、「死にいちばん近い日」であり、だからこそ、無病息災を祈る日となりました。
人々は、苦境の季節もまた、恵みの季節のサイクルととらえ、
【冬至】を境に、春へ向かっていくこと
再び太陽の力が甦ってくること=「太陽が生まれ変わる日」
一年の始まりの日として考えてきたのです。
日本だけでなく、世界各地で「太陽の誕生日」として冬至の祝祭をあげる風習は多く見られ、クリスマスも冬至祭にも由来しています。
別名「一陽来復(いちようらいふく)」とも言い、<悪いことが続いた後に幸運が開けること>を指します。
新穀の恵みを願い太陽に感謝し、穀物だけでなく人間もまた、大自然の一部であると考え、めぐる季節と共に生きる人々の知恵、生活は今にたくさん伝わっていますよね。
冬至の食べ物
寒さも深まっていく中で、どんな物を食べて過ごしたのでしょうか?
【南瓜(なんきん)-かぼちゃ-】
冬至の日にかぼちゃを食べることから、かぼちゃは冬の野菜だと思われがちですが、夏野菜の一つ。
大切に保存されていた夏に採れたかぼちゃを食べて、冬の寒さを乗り越えます。長く保存がきくだけでなく、追熟により味わいがよくなるため、冬至の頃にはより一層美味しく食べられるのです。
【効能・効果】
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、カリウムをはじめ、体調の不安定になりがちな冬にぴったりな豊富な栄養素が含まれています。
免疫力アップ、抗酸化作用で老化防止、肌の健康を守る、むくみ改善、便秘改善などがあげられます。
【おすすめの調理方法】
水溶性ビタミン類が多く含まれているので茹でる場合は、栄養素が流出してしまいます。ゆで汁なども活用できるスープなどがおすすめ。レンチン調理でも防ぐことができます。
βカロテンは油と一緒に摂ることで吸収率が高まります。そのため油を使った料理にしたり、脂身の多いひき肉と一緒に調理したりすることで効率よく栄養を摂ることができます。
【小豆】
中国最古の医学書『本草』に小豆は「鬼毒を殺し、痛みを止める」と記載されているほど、昔から効果を伝えられてきた小豆。「厄除けの小豆」とも言われ、冬至には厄払いのため小豆粥を炊いたという中国の風習も残されており、冬至の日に「かぼちゃのいとこ煮」が定番とされていきました。
また、小豆は【小正月】1月15日に一年の邪気払いや無病息災の祈りをこめて【小豆粥】を食べる風習があります。
カボチャと小豆を煮た【いとこ煮】は冬至の定番メニューですよね。
【効能・効果】
●小豆に多く含まれるビタミンB1には、炭水化物の代謝をサポートする働きがあります。また、乳酸の代謝を促し、疲労回復をサポート。
●カリウムを豊富に含む食材。身体の中に取り込んだナトリウム(塩分)を体の外へ排出し、むくみ対策へ役立ちます。
●食物繊維が多く含まれています。便秘対策に効果的。腸内環境を整える作用もあります。
その他にも、便秘改善、ダイエット、美肌、生活習慣病の予防など女性に嬉しい効果が期待できます。
【おすすめの調理方法】
小豆もかぼちゃ同様、水溶性ビタミン類の多い食材になります。初めの煮汁には、アクが多く、料理工程では渋抜きとして捨てられてしまいます。
小豆に含まれるポリフェノールを存分に摂取したい場合は、そのまま煮るのがおすすめ。ポリフェノールはえぐみの成分でもあるので、好みや料理に合わせて茹でこぼすかどうか選択してくださいね。
最近では、えぐみが強いものから、ほとんど無いものまで豊富な種類が揃います。小豆はさまざまな調理に向いている食材ですので、一度、好みや調理によって使用してみるのもおすすめです。
【運盛り!冬至の七種】
お正月明け「人日(じんじつ)の節句」に食べる【春の七草】は有名ですが、冬至に食べる「冬至の七種」というものがあります。
冬至の七種とは以下の食べ物のことをいいます。
寒天 (かんてん)
金柑 (きんかん)
銀杏 (ぎんなん)
南瓜 (なんきん=かぼちゃ)
人参 (にんじん)
蓮根 (れんこん)
饂飩 (うんどん=うどん)
冬至の日に運が回復することを願って、冬至の七種を供える「運盛り(うんもり)」という縁起担ぎ。実際に栄養価が高い食材が多いので、縁起担ぎというだけでなく、寒い冬を乗り切るおすすめの食材です。
冬至には食べ物だけでなく、ほかにも有名な風習がありますよね。
【柚子湯(ゆずゆ)】
柚子湯には運を呼び込む前に「体を清める」という意味があります。
また、「冬至の日に柚子湯に入ると風邪をひかない」「ひびやあかぎれなどの冬特有の肌荒れを防ぐ」などの言い伝えがあるように、柚子には血行促進や鎮痛成分も含まれており、身体を温めリラックス効果も期待できます。
冬至ならではのあたたかな楽しみ方ばかり。
節目の日は、あらためて自分や家族の身体を気遣ったり、生活を見直すタイミング。
そうしたことを【習わし】としの日と決めておく日本の生活スタイルこそ、
昔から代々積み重ねてきた人々の知恵という気がいたします。