二十四節気 第14番【処暑 -しょしょ-】

二十四節気 第14番【処暑 -しょしょ-】

二十四節気 第14番【処暑 】(しょしょ)
 


【処暑 】とは言葉通り、暑さが峠を越え、朝夕には涼しい風が吹きだす頃を指します。

暑さがおさまるにつれ、涼し気な虫たちの鳴き声も聞こえだします。

【残暑】は<立秋>から<秋分>までの間の暑さを差し、前節気【立秋】・【処暑】が初秋となります。
 

 
日本は、残暑から夏の終わりの暑さが長く続く傾向にありますが、台風が多く接近するのもこの時期。

 

 

◆雑節<二百十日><二百二十日>◆

古来より、日本の農家では、この季節の台風・水災害が多かった経験から、一つの目安として、<二百十日>・<二百二十日>として<雑節-ざつせつ->に含まれています。

 

<二百十日>・<二百二十日>とは?

【立春】より210日目を<二百十日>。
220日目を<二百二十日>は、古来より<厄日・荒れ日>として、決して気を緩めず過ごすように言い伝えられています。
そして、210日前後の日(9月1日あたり)には「風祭り(かぜまつり)」として、風鎮めの儀式が全国各地で行われます。 

  

 

 

◆風神 
 

日本には、「風祭り」と共に風神の伝承が色濃く残ります。

 

民間で信仰されていた風の神は、その呼び方や姿、残された伝承が地域によってさまざまです。地域の風の神は、「風の神」「風神」と呼ばれることが多いですが、「風三郎」「又三郎」など人名のように呼ばれる地域もあります。それだけ身近に訪れる神として認識されています。

多くの神は良い神や、指針となる神として崇められますが、風神は疫病神として取り扱われることが多いのが特徴です。

 昔は「風が病を運ぶ」という考えから、「風」は忌み嫌う言葉として現代でも残ります。例えば、「風邪」は「風(ふう)」の「邪(じゃ)」が体に入り込むことによって起こる症状として成り立った言葉であり、「風評」は、良くない評判・噂として使われます。

 

また、風にまつわる神社で、ひときわ有名なのは、伊勢神宮の豊受大神宮別宮として建てられている「風宮(かぜのみや)」があります。

古事記』や『日本書紀』に記される風神、級長津彦命(しなつひこのみこと、級長戸辺命(しなとべのみこと)を祀る外宮の別宮です。

本来は、これまでの疫病神としてでなく、農耕に適した風雨をもたらす神として崇められ、元寇の際には、神風を起こしたご神威により、日本に押し寄せた元軍は退却し、日本にとっての国難は去ったとして、これを神風による勝利として、宮号宣下され、別宮に加列しました。以降、日本の国難に際して日本を救う祈願の対象となりました。

 

▲風日祈宮橋

 

 

◆【防災の日】

日本では、これまで<二百十日>にあたる9月1日に、台風だけでなく、様々な天災が重なってきたことから、<二百十日>にあたる9月1日を【防災の日】として制定されています。

過去、1923年9月1日に発生した関東大震災や、過去9月に起こった第二室戸台風や伊勢湾台風など、「防災の日」は、「さまざまな災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」ことを目的に「防災の日」を含む1週間を防災週間として、様々な国民運動が行われます。

 

  
 

日本は、地理的にも多くの災害が起こる条件を備え、過去にも多くの災害を経験してきました。特に近年では、環境問題と共に拡大していく台風の大被害は毎年大きくなっていることや、今後予想される、南海トラフ大地震にも国民全員が備えている現状と思います。

 

最近では、定期的に起こる地震によって、多くの方が防災グッズを備えるようになり、身の回りを確認する機会もあったかと思います。できれば、災害がおこったときに慌ててアイテムを購入するのではなく、定期的に・随時、アイテムを揃えていき、ブラッシュアップしていきましょう。季節が違えば必要なものや感じ方が変わることもあるので、年に2度は備蓄や災害グッズを確認する時間をつくってみてくださいね。

 

また被災地などで度々、注目を集めるのはペットの被災です。
 

 
◆ペットの被災対策
 

犬や猫だけでなく、鳥や爬虫類などさまざまなペットと過ごすことが当たり前になった日本。災害にあった時には、人間だけでなく、ペットの防災グッズも必要になります。

 

 

 
災害時には、どうしても何より人が優先になってしまいます。人間の場合、最低3日~7日分の備蓄品が必要と言われますが、ペットの備えは基本的に飼い主の責任になります。最低でも7日。地域によっては2週間程度~の準備が必要と言われています。

ペットのサイズや頭数によって、人間用の防災グッズよりも量が多くなりますので、急な避難の場合に持ち出すものと、分けておかなければならないかもしれません。それと同時に、自分の地域で、ペットと一緒に避難できる場所はあるか、できない場合は他に何を選択できるかを必ず家族で話し合っておきましょう。

その他にも、ガラスなどが割れてしまった場合、床を歩かせることができない場合に備えて靴を履かせる練習をしたり、ペットゲージやキャリーバッグに入る習慣がない子は練習することをお勧めします。
また、最近よく見かけるペットカートですが、ペットカートが頼りにならない場合もあります。例えば、通常時、とても快適なエアタイヤですが、災害時にはパンクすることがあるため、防災グッズとしてはノーパンクタイヤの方がオススメです。

また、避難中にペットとはぐれてしまうことがあるかもしれません。
犬の場合は、保護されたときに身元が分かるように、普段から連絡先を書いた迷子札をペットに付けておきましょう。その他には、半永久的に身元証明ができる「マイクロチップ」を装着するなど、二重の対策をとるとより安心です。
 

 

◆迷子札の必要性

   

東日本大震災の際に、首輪の装着はしていたものの、迷子札や鑑札などの装着がなく飼主を特定できないペットが全体の80%に登るとの発表がありました。


首輪に名前が書いていても、ペットの名前のみで、飼い主の名前はおろか連絡先すらもわからなかったものが大半と言われています。その結果、ほとんどのペットが行方不明のまま飼主の元に戻らないという現実がありました。

 

 

最近は、そうした現実を受け令和4年度には「マイクロチップ」装入が義務化となりました。震災以降、マイクロチップの有無にかかわらず名前札や鑑札・狂犬病予防注射済票の装着は、改めて多くのシーンで見直されている気がします。

近年の風潮としては、
QRコードなどが付いた名札があります。連絡先など記すのに抵抗がある人にオススメです。しかし、被災してしまった場合には、電波状況は不安定でつながらない場合も多く、また、人によってはQRコードを理解しない場合もありますので、できるだけ万人に通用する名札にし、できるだけ早くペットにたどり着けるようにしましょう。

 

 

地震や災害について、改めて考える機会が多い近年。


学校や会社、地域、家庭など様々な状況で訓練や話し合いをする中で、地域の歴史や土地、文化などを知り、自分たちが守る土地のしくみを知っていく良い機会になると良いなと思います。




【 処暑 】の頃、七十二候では下記のように表されています。
 

 
初候<綿柎開(わたのはなしべひらく)>

綿を包む柎が開き始める頃。柎とは花の萼(がく)のこと。柎が開き始めるとふわふわとした綿毛が中からとび出してきます。

 

 

 

次候<天地始粛(てんちはじめてさむし)>

ようやく暑さが収まり始める頃。
秋雨前線が冷たい空気とともに秋を運んできます。

 


末候<禾乃登(こくものすなわちみのる)>

 
田に稲が実り、稲穂が色づきついてくる頃。稲穂はこぼれるように垂らして揺れています。禾とは、稲や麦などの穀物の事を指します。
 
 

 

* 



夏から秋へ。
気温差が大きくなるため体調を崩しやすくなる頃。

実る稲は青く、実りの秋までもう少し。
夏の疲れを癒しながら、ほっと一息。実りの秋を待ちましょう。

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