季節をめぐる「正月の習わし」

季節をめぐる「正月の習わし」

お正月は、日本の行事の中で最も古くから存在するものと言われています。日本の行事・習わしの中でも、一番大切にされてきた文化と言えるでしょう。

お正月の「正」と言う字には、年の【初め】、年を【改める】という意味が込められています。昔は「正す月」として、1月を通して「正月」としていました。

【お正月事始め】から半月をかけ、家内を掃除し、整え、お飾りや歳神様の依り代、お供えを準備しました。そして、新しい歳神様を家族そろってお迎えし、祝うための大切な日となります。

 

▼【お正月事始め】についてはこちら▼

 

1.初日の出

 

古来より太陽信仰の強い日本では、昔から初日の出を特別なものとして見てきました。

初日の出が昇ると同時に歳神様も現れると考えられて、豊かさを運んでくれる歳神様が現れる初日の出を見ることにより、いち早く歳神様を迎えて1年間の幸せや豊作をお願いするという意味があります。
また、ご来光を見るとさまざまな御利益があるといわれています。 山が高ければ高いほど早くご来光を拝むことができるのでご利益があるといわれており、富士山のご来光はとても人気があります。

 

歳神様

歳神様とは、その家のその年1年を守り統べる神様のこと。地域によって、歳徳神、とんどさん、恵方神、お正月様、さまざまな名前で呼ばれます。お正月は1年の始まりの三が日に【歳神様】を迎える文化になります。

 

2.初詣 

初詣とは、1年でいちばんはじめに神社やお寺にお参りに行き、新しい一年の幸せを祈願することを言います。「初参り」と呼ぶこともあります。

 

 

大晦日の夕方から元日の朝にかけて、氏神様のいる神社にこもり、新年の豊作や安全を夜通し祈るというものですが、時代を経てこの「年籠り」が、大晦日にお参りする「除夜詣」と、元旦にお参りする「元日詣」に分かれたと言われます。

 

正しい初詣の方法とは?

普段、神社や寺院にお参りに行く機会がないと、正しい参拝のルールや手順を忘れてしまいますよね。今一度、おさらいしておきましょう。

 

①.鳥居の前で立ち止まり一礼をする
②:手水舎で手や口を清める
③:古いお札やお参りを奉納する
④:本殿でお参りをする

<参拝の手順>
1. 姿勢や身なりを整えて神前に進む
2. 賽銭を賽銭箱の中にそっと入れる
3. 鈴を鳴らす
4. 2回続けて深くお辞儀をする
5. 胸の前で両手を合わせ、2回続けて拍手をする
6. 両手を合わせたままお祈りをする

⑤.境内を出る際にもう一度会釈をする

 

初詣はいつまでに行くもの?

初詣は通常、3が日の間に行く人も多いですが、松の内7日、あるいは小正月の15日の間に行けばいいでしょう。1年の初めに、ということなので、遅くとも1月中には済ませたいですね。

 

3.お年玉 

 

 

お年玉は、正月に歳神(年神)を迎えるために供えられた鏡餅を家長によって子供に分け与えられたことが始まりと言われています。年神様の「御魂」(みたま)が宿った餅玉が、 「御歳魂(おとしだま)」と呼ばれたことが「お年玉」の発祥と語源となります。昔から、お餅だけではなく品物やお金を渡すこともあり、こうした年始の贈り物を「お年玉」と称するようになりました。

「お年玉」がお金が主流になったのは、昭和30年代後半の高度経済成長期ごろ。
お年玉は家長から家族へ、主人から使用人へ、師匠から弟子へといった具合に、目上から目下へ渡すものなので、次第に子どもへあげる風習へと定着していきました。それ以外の場合には「御年賀」「御年始」などを用います。

 

4.初夢 

1月1日の夜から2日の朝にかけて見る夢を「初夢」とすることになっていますが、お正月の「三が日」のことと捉えていただければと思います。


初夢で見ると縁起が良いものに「一富士二鷹三茄子(いちふじ にたか さんなすび)」の夢を見ると縁起が良いといわれています。

富士は「無事」、鷹は「高い」、茄子は「成す」という言葉にかけられています。その続きに、「四扇五煙草六座頭(しおうぎごたばころくざとう)」という続きがあり、扇は「広がる」、煙草は「煙が立ち昇る様子から運気が上がる」、座頭は「ケガがない」というかけ言葉になっています。


 

誰もがいつも夢を見るわけではないではありませんので、せっかく見た夢に「一富士二鷹三茄子」が出なかったからと言って、がっかりする必要はありません。中には、一見、不吉に思われるような夢が幸運を予期していたりするらしいのです。縁起が良いとされる夢をご紹介します。

 

 吉夢となる夢 

1.太陽の光が印象的な夢
太陽の光が印象的な夢は、幸運が訪れることを暗示しています。太陽は、すべての生命の源となる生命力や活力といった夢となります。

2.鮮血が印象的な夢
鮮血が印象的な夢は運気が絶好調になる暗示と言われています。苦しい現状が好転したり、チャンスが訪れたりすることを表し、縁起が良く訪れる幸運も大きいと言われます。

3.死ぬもしくは殺される夢
一見、悪夢に思われがちですが、死は再生を意味しています。そのため、現状が好転し、自分自身や周りに大きな変化が訪れることを意味します。

4.虹が印象的な夢
虹が印象的な夢は、仕事の成功や恋愛成就など幸運をもたらすと言われています。綺麗な7色の虹の場合は、悩みごとが一気に解決すると言われています。

 

5.書初め

書初めとは、年に一度行われる日本の正月行事で、年の初めに文字や絵をかくことを言います。 新年に向けた抱負や祈願をしたためることが多く、目標や努力を表す言葉のほか、健康や幸福などを願う四字熟語を書くのが定番となっています。 一般的に、書初めは1月2日に行われます。

 

6.正月、三が日の言い伝え

元旦からの3日間を正月3が日と呼びます。その三が日は年神様を家にお迎えする時。だからこそ、その3日間は神様に失礼の無いようにやってはいけないと、昔から言い伝えられてきたタブーが存在します。

 

  

1.掃除をしてはいけない

お正月は、年神様が福を持って家を訪ねてきてくれるため、福を払いのけないよう、掃除は控えるべきだとされています。大晦日までに、年末の大掃除ですっきり済ませておきましょう。

2.水仕事をしてはいけない

キッチン、バス、トイレの掃除、洗濯などの水仕事も、年神様を水で洗い流すことになるため控えます。

3.刃物を使ってはいけない

お正月に刃物を使うこともタブーとされています。これにはいくつかの説があります。「三が日に刃物を使わなければ、一年間を無事に健康で過ごせる」「包丁で切ることが、縁を切ることにつながる」「三が日は包丁を休ませてあげる」などです。

4.煮炊きをしてはいけない

かまどには、荒神(こうじん)様と呼ばれる火の神様がいると考えられています。三が日は神様に休んでいただくため、火を使う煮炊きは控えるべきだとされています。また、煮炊きをする際に出てくる灰汁(あく)が、悪(あく)につながるので縁起が悪いという言われもあります。

5.四足(よつあし)の肉を食べてはいけない

四足とは、豚や牛、馬など、4本の足で歩く動物のことです。
おせち料理は、もともと年神様へお供えするもので、仏教の殺生禁止という教えから、神仏へのお供え物には豚や牛、馬など四つ足の肉は除かれます。

6.喧嘩をしてはいけない

正月は家族が集まる日でもあるため、大勢人が集まると喧嘩が起こってしまうこともあります。しかし、昔から喧嘩をすると「悪い運を植え付けてしまう」という考えがあり、新しい年を迎える日に喧嘩をするのは相応しくないと考えられています。

7.買い物・お金を使いすぎてはいけない

「一年の計は元旦にあり」とは、一年の計画は元旦に立てることが大切である、ということわざ通り、元旦は、一年ですべきことや目標などを真剣に考え、先を見据えるための日とされています。お金を使い過ぎると、その一年間はお金が貯まらないという言い伝えもあります。

 

三が日の言い伝えは、「歳神様に失礼がないように」と言うほか、「火の神様」と「水の神様」にお休みしてもらうという考え方があります。そしてそれは、とても主婦思いの内容になっていると思いませんか?というのも、日本では女性(妻)を「かみさん」と呼ぶ呼び方がありますよね。家事は365日休みがないとよく言われますが、三が日はねぎらいの意味も込めて、妻を家庭の中の神様のように扱い、家事は控えよ、ということなのです。

 

私たちが古来より受け継いできた日本の文化や生活の原点を感じられる【お正月の習わし】
日常の生活では日本ならではの文化に触れることが少なくなっているからこそ、改めて感じ、発見することもあると思います。
自分自身の1年の抱負や、各ご家族・世帯のテーマなどを胸に、心を「正」しつつ、楽しみながらお正月を迎えましょう。

 

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