第3番「啓蟄(けいちつ)」

第3番「啓蟄(けいちつ)」

二十四節気 第3番「啓蟄(けいちつ)」

 

春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくる頃。

 

「啓」には「ひらく、明ける」などの意味があり、「蟄」には「土の下で冬ごもりしている虫」という意味があります。

ひと雨ごとに気温も上がり、野山は新芽を付け、日差しも徐々に暖かくなります。
スーパーや八百屋さんでは山菜をはじめ春野菜が並び始めます。
旬の食材で春の訪れを味わいましょう。

それでは【啓蟄】の頃の行事をご紹介いたします。

 

 

1.菰はずし(こもーはずし)

 

菰(こも)とは、藁で作った敷物を指します。
毎年、11月の初冬になると、松などの幹に菰を巻く「菰巻き」が全国各地で行われます。「菰巻き」は松の木の天敵であるマツクイムシやマツカレハなどが越冬する習性を利用した伝統的な害虫駆除法です。 

 

 
寒くなると虫たちは菰に身を潜め冬を越します。そして、虫たちが動き出す「啓蟄」ごろに菰をはずし、菰の中で冬眠していた害虫を駆除します。

「菰巻き」は初冬。「菰はずし」は仲春。それぞれ季節の風物詩として知られています。

 

菰を羽織る松並木の冬景色がなくなる!?

 

江戸時代から伝わる害虫駆除の方法ですが、実際にはあまり効果がなく、他の益虫ばかりが集まってしまうという研究が出ています。今では冬の風物詩として行っていることが多いようです。

 

しかし、樹木全体を巻く菰(こも)では、害虫対策ではなく、寒さに弱い常緑樹を守り、また枝を雪の重みで折れないようにしたり、葉の変色を抑えるなど霜や雪から守るため、菰巻きは今でも大切にされる行事となっています。

 

 

 

2.修二会(しゅにえ)

 

奈良に春を呼ぶ東大寺二月堂の「お水取り」

 

奈良市の東大寺の二月堂で毎年3月1日から14日まで行われる法会です。
クライマックスでもある「お水取り」は、修二会の別名でもあります。

 

「修二会」とは、過ぎ去った旧年の穢れをはらい、新年の国家の平安や豊穣を祈るため、毎年旧暦二月に執行される「悔過(けか)」の法要行事です。
練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる選ばれた11人の僧侶が、十一面観音菩薩への賛美礼拝を重ね、人々の代わりにあらゆる罪を懺悔して、国家の安泰や五穀豊穣などを祈る法会を行います。

行中の3月12日深夜(13日の深夜1時半頃)には、「お水取り」といって、若狭井(わかさい)という井戸から観音さまにお供えする「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式が行われます。この行を勤める練行衆の道明かりとして、夜毎、大きな松明(たいまつ)に火がともされます。
その印象的な様子から「修二会」は通称「お水取り」や「お松明」と言われます。
松明の火の粉を浴びると幸せになる・健康になると信じられており、その燃えかすをお守りとして持ち帰る人も多いそうです。

この法要は天平勝宝4年(752)に東大寺開山良弁僧正の高弟、実忠和尚が創業して以来、1度も途絶えることなく行われてきた行法と言われ、2023年で1272回目を数えます。

 

 

3.ホワイトデー


日本が発祥!お返し文化が生んだ「ホワイトデー」

 

 
ホワイトデーはバレンタインデーから1か月後の3月14日。
バレンタインデーにチョコレートをもらった男性が、キャンディーやマシュマロなどを女性にお返しする日とされています。
バレンタインデーに本命チョコのほか、友チョコや感謝チョコなどが贈られることから、ホワイトデーも男女関係なくチョコをくださった方へ「お返し」をするのが一般的です。

そもそも、バレンタインデーは海外から伝わってきた文化ですが、贈り物の定番がチョコレートなのは日本独自の文化になります。
欧米では「男性が奥さまや彼女に愛や感謝を伝える日」と定義されることが多く、愛の言葉を込めたメッセージカードと共に、花束(特に赤いバラ)などのプレゼントを用意し、レストランや自宅で食事を食べることが一般的な過ごし方とされています。他には、好きな人や恋人だけでなく、日頃お世話になっている人や家族に対してプレゼントすることも多いようです。


日本ではバレンタインデーとホワイトデーはセットになって考えられていますが、欧米にはホワイトデーはありません。日本には「内祝い」や「香典返し」など、何かをいただいたらお返しをするという文化が根付いていることから、「ホワイトデー」が生まれたと言われています。韓国や台湾など、東アジアにだけ見られる習慣になります。

 

 

【啓蟄】の頃の七十二候では下記のように表されています。
 

初候 第7候
<蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)>

冬眠していた生き物が春の日差しを求めて土から出てくる頃

 

 

二十四節気の「啓蟄」と同じ意味となる、初侯。
春の暖かな陽気に誘われ、虫たちがもぞもぞと土から顔を出す様子。
土から這い出る先を「戸を啓く(とをひらく)」として、暖かな日差しを浴びる虫たちの様子が目に浮かびます。

 

次候 第8候
<桃始笑 (ももはじめてわらう)>

桃のつぼみがほころび、花が咲き始める頃 

 

 

昔は花が咲くことを「笑う」と表現しました。

「山笑う」とは春の季語で、芽吹き始めた華やかな山の形容となります。

 

末候 第9候
<菜虫化蝶 (なむしちょうとなる)>

厳しい冬を越したさなぎが羽化し、華麗な蝶へと生まれ変わり、軽やかに舞い飛ぶ頃。

 

 

菜虫とは、菜の花や大根や蕪などの葉につく紋白蝶の幼虫、青虫のことをいいます。

 

 

 日中はすっかり暖かな気温で春の陽気となってまいりました。

これから、一雨ごとにどんどん暖かくなり、いつの間にかに春を越し夏を迎えていくという具合。

しかし、朝晩はまだまだ寒く、時折冬が舞い戻ってきたような「寒の戻り」もあります。春は季節を通してずっと気候の変わり目。

寒暖差に気を付けながら、訪れた春を存分に楽しみましょう!

 

ブログに戻る