第13番【立秋 】

第13番【立秋 】

二十四節気 第13番【立秋 】(りっしゅう)

 

秋のはじまり。

立春からちょうど半年が経過し、まだまだ夏真っ盛りの時期ですが、お盆明けには少しずつ秋の気配が感じられることでしょう。
その頃には季節の挨拶も「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に替わります。




秋の始まりにあたる「立秋」は、二十四節気のなかでも特に大切な節目の一つとされています。

各、季節のはじまりにあたる<立春・立夏・立秋・立冬>をまとめて【四立(しりゅう)】と言い、季節の節目をしめす
<春分・秋分><夏至・冬至>をまとめて【二至二分(にしにぶん)】と言います。

 



●昼夜の時間がほぼ同じとなる<春分・秋分>

●1年のうち昼間の時間が最も長い<夏至>
●同じく夜の時間が最も長い<冬至>⇒【二至二分(にしにぶん)】と言います。

➡四立と二至二分を総合して【八節(はっせつ)】とまとめます。

 

【二至二分(にしにぶん)】【八節(はっせつ)】については
▼こちらをご覧ください。

 





立秋頃の大きな行事では「お盆」があります。
8月初旬頃から行われるお祭りは、花火や盆踊り、灯篭流しなど、慰霊や迎え火・送り火の一種として行われるものが多くなります。

 

 

 

前節気の【大暑】の項で記しました通り、迎え火となる花火と、神事的な意味合いの強い盆踊りで、魂をもてなし送り出しをします。

 

様々な地域で長年、季節の風物詩として親しまれているお祭りですが、平成に入り環境問題への意識の高まりから、地域環境に配慮したお祭りづくりを各自治体は取り組みを続けています。

灯篭流しの代わりに「キャンドル・ナイト」や「デジタル花火」などを企画したり、時代と共に形を変えながら人々を魅了しています。

近年では、お家での「お盆」の過ごし方も、ライフスタイルが変化していく中で、様々な提案や工夫が見られます。

迎え火・送り火には「おがら」ではなく、それに見立てたロウソクや盆提灯。お盆に必要なセットも豊富に販売されています。
昔は各家ごとに家紋や苗字を入れた提灯を用意していましたが、お仏壇と同じように、デザインもインテリアに馴染みやすく、オシャレでコンパクトなものが多くあります。

 

 

変化していくお盆の迎え方・送り方の中でも、今年、我が家では「線香花火」での送り火をしようかと考えています。

花火は慰霊や疫病退散の意味合いがあり、花火大会もまた「迎え火・送り火」として行われています。
その中でも、線香花火は「人生を表した」というように、にっぽんの伝統美“詫び・寂び”のストーリーを語られます。

 

「線香花火」の人生を表した表現とは?

 

 

 
線香花火の燃え方には4段階あり、
それぞれに植物の名前がつけられています。
物語に【起承転結】があり、人生もまた同じ。

蕾からはじまり、牡丹・松葉・柳・菊と変化していきます。
 

 

1.【起】牡丹/蕾(命のはじまり)

 

 

 

火玉ができる蕾の状態から、徐々に熱い生命力となり
ジリジリと大きく開く牡丹のように火種が膨らみます。

それから、徐々に大きく華やかに火花を散らします。

 

2.【承】松葉(力強く勢いのある時)

 

 

チリチリと火花が徐々に大きくなる様子は、幼き日々から青年期への成長を表現。
始めは迷いながらも確実に大きくなる姿と捉えることができます。正に躍動と飛躍。

一番盛り上がる場面は、人生でいう結婚や出産を表していると言われています。
松葉のように、パチッパチッと勢いよく音を立てて火花を散らし、力強く勢いのある火花が輝きます。

 

3.【転】(安定)

 

 

横に縦に火花を散らしていた花火は、徐々に安定しています。
柳の枝のように線香花火の火花が丸みを帯びていき、火花の方向が重力にそって流れるように散っていきます。人生で例えるなら、子育てや仕事が一段落して落ち着いた時期と言われています。
ゆっくりとした時間が流れ、柳が風に揺れ、身をまかせている様子に例えられます。

4.【結】散り菊

 

 

火花な徐々に小さくなり細い火花が散る様子を、一枚一枚細い花びらを散る菊に例えています。

静かに余生を送る晩年といえます。
そして、余情。線香花火の最後は火花が消え、火球だけが残り、火玉が赤から黄に変わった光を失った瞬間、線香花火の一生は幕を閉じるのです。

 



火花が瞬いている様子から、まるで走馬灯のように人生が映り、
想い出と共にまた違った時間を過ごせそうな気がします。

世界中、古来よりて神聖な意味をもつ「火を灯す」ということ。

始まりは必ず、小さな炎。あるいは、光から始まる瞬きであると感じます。





【 立秋 】の頃、七十二候では下記のように表されております。
 
 

初候 <涼風至(すずかぜいたる)>


夏の暑い風から、秋の涼しい風に替わりはじめる頃

 

夏の暑い風から、秋の涼しい風に変わりはじめる頃。まだ日中の陽射しは眩しいなかで、朝夕に吹く涼しい風は季節が変わり始めていることを知らせてくれます。
 

 
次候 <寒蝉鳴(ひぐらしなく)>
 

 

ヒグラシが鳴き始める頃。夕暮れ時になると、ヒグラシの声が聞こえ、夏の終わりを感じます。(ちなみに、『寒蝉鳴』は日本独自のもので、中国の候は『白露降』となっています。)
  

 
末候<蒙霧升降(ふかききりまとう)>
 

朝夕が少しずつ涼しくなり、ひんやりとした空気に季節の移り変わりを感じる頃。

  

 
まだまだ夏の暑さを残す立秋ですが、少しずつ高くなる空には巻雲や、夜になると聞こえてくるコオロギや鈴虫の鳴き声など、残暑のなかに潜む小さな秋の気配を感じるはず。

 

まだまだ暑い日が続き、お盆休みも相まって、夏バテを体感する人が多くなる頃です。立秋は冬至のように食べ物が決まっているわけではないものの、旬の食材は豊富で、この時期に身体に取り入れたいビタミンやエネルギーなど、夏バテを和らげてくれる栄養が豊富です。

お盆は長期休みの方が多く、ご家族が揃うことも多いです。
お祭りや庭先の花火。柔らかな風に涼し気な風鈴の音。急な夕立に見舞われることもあるかもしれません。
にっぽんの夏の景色を存分にたのしみましょう!

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