第1番 【立春】

第1番 【立春】

二十四節気 第1番目 

立春(りっしゅん)

 

春の訪れ。

季節のはじまりです。

 

立春は二十四節気において、最初の節気

まだまだ冬の寒さを残しながらも、徐々に暖かくなり、いたる所に春の伊吹を感じる頃。

 

「立春」次節気の「雨水(うすい)」は初春としてあげられます。

立春は、季節が出立する日でもあり、新しい1年がはじまる「新年」でもありました。そのため、全国各地の神社では立春祭が行われたり、おめでたいイベントが多く開催されています。

「立春の日」につきましては、【立春の習わし】をご覧ください。

 

それでは【立春】の頃の行事をご紹介いたします。

 

 

1.立春(りっしゅん)

 

 

新暦では、元旦を迎えるにあたり大晦日がありますが、

立春には節分があります。

 
現在の日本では「立春」や「旧正月」を祝う文化は少なくなり、節分の「恵方巻」や「豆まき」の方が生活に馴染みがありますよね。近年では急速に文化や生活様式は変化し、環境問題もまた大きく取り上げられますが、社会全体が変わる中でも、こうして季節が巡ることや自然の中の普遍性に、よりありがたさを感じています。

私たち人の生活はいつの時も季節と文化によって豊かになっていく。そんな1年をまた今年も楽しんでいきましょう。 

  

◆祝いの【春】◆

 

立春は「新年」のお祝い文化として「招福除厄」の意味を持つものが多くあります。

 

 

「立春」を祝うための、おめでたい名で福を招きます。

●立春大吉●

縦書きにした「立春大吉」という文字は裏から呼んでも「立春大吉」。玄関に貼っておくと、万が一、鬼が家の中に入っても「立春大吉」と読めるため、家の外と勘違いし出ていくと言う言い伝えから、厄除けとして用いられます。

 

●立春朝搾り●

節分の夜から一晩中もろみを搾り続け、立春の早朝に搾りあがったばかりの生原酒を神社でお祓いをしてもらう、縁起の良いお酒。

 
●立春生菓子●

立春に作る和菓子を「立春生菓子」と呼びます。代表的なものは「立春大吉餅」。小豆や餅には、けがれを祓う効果があると言われ、餅の丸い形から、物事を丸く収めるという意味があります。その日のうちにすべて食べきると縁起が良いとされます。


●立春豆腐●

節分に食べるとさまざまな邪気を払い、立春に食べると立春大吉豆腐と呼び、健康を体内に呼び込み幸福になるといわれています。節分と立春に食べる時は「白い色」のまま食べるのがいいと言われているので、醤油ではなく、塩で食べるのがおすすめ。

 

 

2.初午(はつ-うま)

 

立春を迎えて初めに訪れる午の日には、全国の稲荷神社で盛大に初午大祭はつうまたいさいが行われます。

 

 

 

この日は京都の伏見稲荷大社のご祭神が舞い降りた日として、稲荷神社の祭日とされています。農家では、「稲荷」という言葉は「稲生り」に由来し、稲の神として広く信仰されています。他にも、商売繁盛、家内安全などを祈願します。
また、初午大祭では「おいなりさん」を食べる風習があります。
稲荷神社には、神の使いとして狐が祀られており、狐の大好物である油揚げをお供えするようになりました。東日本では「いなり寿司」。西日本では「お稲荷さん」と呼ばれる傾向が強いのは、そうした影響があるようです。

2023年は2月5日(日)が初午の日。

 

 

3.雛人形を飾る

 

雛人形をお飾りして健やかな成長を祝う文化「桃の節句」は、毎年3月3日に行われます。 

 

 

◆お雛様はいつから飾るの?◆

お雛様を飾るのは、季節の節目である節分を終え、【立春】から次節気の【雨水(うすい)】までの間に飾るのが良いと言われています。節分の(鬼を祓ってから)以降のお日柄が良い日とも言われます。

 

1月から飾ってはダメなの?

三月がけ(みつきがけ)にあたるので、縁起が悪いと考える方もいます。
※「三月掛け」とは・・・三ヶ月に渡ると終始苦労が身に付くと言って縁起が悪いと言われています。しかし、旧暦でお節句を行う地域もありますので、「三月掛け」を特別気にすることはありません。 



◆自分のための雛人形「マイ雛」◆

お雛様はお飾りする年齢に限りはなく、厄を引き受ける自分の身代わりとなるので、嫁入りに持っていくという方も多くおられます。近年では、女児だけでなく「マイ雛」と言って、季節のお飾りとして幅広い年代の女性が自分のために飾ります。 

 

4.気候 

 

「春のはじまり」と言われるように、徐々に季節は動き始めます。そのため、気候に関係する表現が多いのも特徴です。

 

 

◆春一番(はるいちばん)

春一番とは、<立春から春分の日までの間に広い範囲で初めて吹く南寄りの風のこと>を言います。この風が吹いた後に気温が上昇すると、春一番として認められます。よく知られている春の知らせの一つ。

◆寒明けの雨(かんあけのあめ)

寒明けの雨とは、1月の寒の入りからおよそ1ヶ月たち、寒が明ける立春の時期に降る雨のことを言います。

◆寒の戻り(かんのもどり)

寒の戻りとは、すっかり暖かくなった春の終わり頃に一時的に寒さがぶり返す現象のことを言います。立春を過ぎてしばらくしてから温度が下がると寒の戻りと呼ばれます。日本海側で発生する低気圧が原因となることが多く、4月の後半に起こりやすい現象になります。



5.「春は苦み」ー旬の物を食べよう

 

旬のものを食べるのは、季節の中で生活する私たちの身体にとって、とても理に適っていることと考えられています。
「春は苦み」と言われるように、苦みのある春の山菜を食べることは冬の間に体内にたまった老廃物や脂肪を排出し、春先の気候にあった体にしてくれる大切な要素となります。
立春の時期の代表は「ふきのとう」。早春に雪の中から小さな頭を出すふきのとうは、独特の芳香とさわやかな苦みがありますよね。このほか、根付き三つ葉、さやえんどうも春の野菜です。魚では白魚(しらうお)、鰆(さわら)、鰊(にしん)が春を代表する魚です。ぜひ旬のものを1品取り入れてみてください。

 

6.世界の春を祝うお祝い

 

2月は世界的に最もお祭りが多いことで知られ、春の訪れを祝うことは、1年を通した五穀豊穣・無病息災など大切な文化・行事として定着しています。

 

 

欧米などでも春を迎える日として大切にされ、お祝いをします。


春のはじまりでもある【立春】は「生後40日のキリストが聖母マリアとともに神殿を訪れた日」の祝いと共に、クリスマスシーズンの終わりとしてクリスマスツリーを焼く習わしがあります。

他にも、春の訪れを祝う行事として、世界各国でカーニバルが行われています。【カーニバル】とは謝肉祭のことで、もともとは春に豊穣・多産を祈るお祭りになります。復活祭(イースター)の前に、「四旬節(しじゅんせつ)」と言われる節制の期間があり、それが始まる前のタイミングで行う盛大な宴です。例えば、リオのカーニバルやニースのカーニバル。ベネチアカーニバルやニースのカーニバルがそれに当たります。

 

6.建国記念日

 

2月11日は日本の建国記念日。

 

 

建国記念日とは、国家の基礎が確立したことを祝う日です。


「建国をしのび、国を愛する心を養う日」として、1966(昭和41)年に定められました。
2月11日は、初代天皇である『神武天皇』が即位された日。

神武天皇とは、日本最古の歴史書である古事記や日本書紀に出てくる人物であり、古事記は神様や日本という国(土地)がどのように産まれたか等が記述されています。このことから、「建国記念日」が史実に基づく建国とは関係なく、事象そのものを記念する日であると考えられます。

日本建国から2681年目になります。


建国記念日は世界中の国にあり、記念日の日付や名称は建国した経緯に由来することが特徴です。

〇中国(国慶節)
中国の建国記念日は10月1日の「国慶節」です。1949年10月1日の天安門広場において、毛沢東が中国の国家成立を宣言したことに由来しています。「中国4000年の歴史」と言うように国の歴史は長くありますが、現代の中国が築かれた日は歴史の長さと同じではないと考えられているようです。中国では国慶節を含む約1週間が大型連休となり、国慶節当日には中国各地で爆竹を鳴らしたり、イベントが開催されたりします。

〇アメリカ(独立記念日)
アメリカでは7月4日を「独立記念日」として制定しています。1776年に開催された大陸会議において、アメリカ独立宣言に署名された日であることが由来しています。独立記念日は「インデペンデンス・デイ」とも呼ばれ、独立記念日を含む1週間はアメリカ各地で花火やコンサートなどのイベントで盛り上がります。

〇フランス(革命記念日)
フランスの建国記念日は7月14日の「革命記念日」です。フランス革命の端緒となった1789年7月14日のバスティーユ牢獄襲撃と政治犯の解放が、国民にとって絶対王政の終わりと共和政の始まりを象徴した革命が由来になります。7月14日フランス各地で花火が打ち上げられ、パリでは軍事パレードが行われます。

  

  

【立春】の頃七十二候では下記のように表されています。

 

初候 第1候<東風解凍(はるかぜこおりをとく)>

2023年2月4日~2月8日頃

 

春の風が川や湖の氷を解かし始める頃。


厳しい寒さの中、雪に覆われている地面からフキの花がぽつりぽつりと顔を出す頃。春の訪れが近いことを少しづつ感じせてくれる、嬉しい時期。

 

次候 第2候<黄鶯睍睆(うぐいす なく)>

2023年2月9日~2月13日頃

 

山里でウグイスが鳴き始める頃

 

初春を告げる鶯の声。 日本三鳴鳥の一つで、鳴き声を聞くだけで幸運が訪れるといわれます。

春の初めは鳴き声もおぼつかないのですが、春が長けるにつれて美しくなります。また、ウグイスは梅の花の蜜を吸うために梅の木を訪れますが、その光景は「梅に鶯」ということわざになるほど、絵になる取り合わせ。美しく調和するものの例えとして使われます。

 

 

末候 第3候<魚上氷(うお こおりいずる)>

2023年2月14日~2月18日頃

 

割れた氷の間から魚が飛び跳ねる頃

 

川の水面に張っていたいた氷が、徐々に解け薄氷(うすらい)になり、その氷の下を川が流れ、魚たちが泳いでいる光景を指します。

少しの衝撃で割れてしまう薄氷の下では、生き物たちはもう元気に活動をはじめています。うららかな春までもう少し。

 

 

寒が明け、暦の上では季節は春となりましたが、冬の寒さが残る初春。

冬の季語に「三寒四温(さんかんしおん)」という言葉がありますが、それを体感するのは【立春】次節気の【雨水(うすい)】の時期になります。
その言葉の通り、<寒い日が三日ほど続くと、その後四日間くらいは暖かい日が続く>という意味で、そうした日を繰り返し、徐々に暖かい日が続きながら、春へと向かっていくのです。
少しづつ陽が長くなるのに気が付き、地面に緑の伊吹を感じはじめる今日この頃。心も身体も少しづつ春の気候へ整えていきましょう。

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