第12番【大暑(たいしょ) 】

第12番【大暑(たいしょ) 】

二十四節気 第12番【大暑 】(たいしょ)



一年で一番暑い時期。
今年は梅雨明けの発表と共に、夏の暑さが本格的になる頃です。

前の節気「小暑(しょうしょ)」と「大暑(たいしょ)」の期間をあわせて【暑中(しょちゅう)】と呼び、「暑中見舞い」を出すのもこの頃になります。

 暑中見舞いについては、前節気の「小暑」をご覧ください。
 

 

その他に、大暑の時期の行事には、雑節の「土用」があります。

  

 


 土用ーどようー  

 

「土用」とは、二十四節気の他に、季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた指標であり、これらをまとめて雑節(ざつせつ)と呼びます。
土用の他に、「節分」「彼岸」や「社日」「八十八夜」も雑節にあたります。

 

 
「土用」と聞くと「土用丑の日」を思い浮かべる方が多いと思います。そのためか夏のイメージが強いですが、節分が年に4回あるように、土用もまた年に4回あります。

それぞれ、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間の期間にあたり、現在は「立秋」に向けた「土用」なります。
 

 
◆土用の起源  


土用は中国から伝わった「陰陽五行思想」に基づいています。
陰陽五行思想では、自然界は木・火・土・金・水の5つの要素から成り立っていると考えられています。そして、季節をこの5つの要素に当てはめ、春は木、夏は火、秋は金、冬は水の気と考えられました。土は季節の変わり目である立春、立夏、立秋、立冬の前18日間に割り当てられ、夏の時季は土の気が盛んになるとされ、「土旺用事」と呼ばれ、それが「土用」となりました。
 

季節の変わり目に当たる土用には、「うなぎ」を食べる以外にも様々な行事や風習が残されています。
 

 

 

◆土用にまつわる行事と風習


●土用の虫干し

 
梅雨明けのころに害虫やカビなどから衣類や本を守るために行われるのが「土用の虫干し」です。晴れた日が続いた乾燥した日に風通しの良い場所に陰干しをして風を通します。
また、この期間は田んぼに水を入れず、土をひび割れ状態にします。 これは雑菌の繁殖を抑える効果があり、稲の根をしっかりと張る期間になるそうです。
 

 
●土用干し

 
土用干しは、虫干しと同じように、晴れた日が続いた乾燥した日に、梅干しづくりに欠かせない天日干しをさします。
土用干しをすることで殺菌作用が働いて長期保存が可能になります。また、果肉が柔らかくなり、色も鮮やかになって風味が増し、味もまろやかになると言われます。

  

 

 

 土用の頃は、梅雨が明け、途端に気温が上がり体調を崩しやすい時季となりますので、昔の知恵に心を寄せながら、快適で健康に過ごしすイメージを持つとおうち時間がより楽しくなりそうですね。

 


暦の上で夏の期間は、5月5日の
初夏「立夏(りっか)」から

  「小満(しょうまん)」
仲夏「芒種(ぼうしゅ)」
  「夏至(げし)」
晩夏「小暑(しょうしょ)」
  「大暑(たいしょ)」

となります。
次の節気【立秋(りっしゅう)】から暦の上で初秋を迎えます。

そんな中で、7月から8月は、全国的に多くの祭り(夏祭り)が開催され、全国各地、風物詩としてもにぎわいます。

お祭りを開催する目的や意味はそれぞれ違うため、主催する側の立場や社会的な情勢により変わっていきます。

 

  • 祭事(まつりごと・さいじ)
     感謝や祈りを込めて神仏や祖先などをまつる行事、祭礼。
     主体は様々。イベントの総称としても使われる
     
  • 神事(かみごと・しんじ)
     神への奉仕、祈祷など厳粛に行われる儀式、祭祀。
     神社の宮司が主体。
     
  • 神賑(かみにぎわい)
     人々に披露する目的で行われるもの。氏子などが主体。



お祭りには様々な種類のカタチがあります。

・お神輿

・山車

祭囃子

・火祭り

・盆踊り

・花火

などがあります。

お祭りの起源は、歴史書の古事記「天の岩戸隠れ(あまのいわがくれ)」という神話に記されていると言われます。


古来より日本には、あらゆる万物に神が宿る「八百万の神(やほよろづ のかみ)」という考え方があります。自然とともに暮らし、農耕民族として生きてきた日本人は、太陽や星、雲、海、山、川、動物、植物、あらゆるものに神が宿っていると信じていました。

 

<アマテラスオオミカミは世を照らす太陽神であり、
弟はスサノオノミコトは海の神として、多くの神々と共に暮らしていました。

スサノオノミコトは荒くれもので、いつも周りに迷惑をかけてばかり。
その様子にアマテラスオオミカミは心を痛め、岩戸の中に隠れてしまいます。
太陽神のいない世はあっという間に暗く災いの多い世界となってしまいました。

困り果てた八百万の神々が話し合い知恵を出し、太陽神を招き出すために岩戸の前で「どんちゃん騒ぎ」をしました。その楽しそうな様子に誘われ、太陽神が出てきました。そして再び明るい世を取り戻すことができたのです。>

 
このどんちゃん騒ぎが祭りの始まりといわれています。

どんなに暗い災いが起こっても、皆で知恵を出し合い、楽しく過ごすことで、良い方向へ向かったり、明けぬ夜は無いということを表現しました。

そうした神々に祈り、神のために祭りを催すのです。
 

 
現代では神に祈ることだけでなく、地域や社会の人々と交わる場所であり、歴史や文化を知るきっかけとなる場所でもあります。
 

「今年の夏は、行ったことのないお祭りに行ってみようか」「今年も地域のお祭りに行こう」と、そんな会話をしている頃かと思います。

近年はコロナウイルスのために自粛傾向にありましたが、そうした時を経て、文化と共に人が集まることが、より人生を豊かにしていくことを実感できればと心より思います。



【 大暑 】の頃、七十二候では下記のように表されております。
 

 

初候<桐始結花(きりはじめてはなむすぶ)> 

 
桐は4月~5月に薄紫色の花を咲かせ、花が終わると卵形の固い実がなりはじめます。花が結ぶこと=実になることを意味しています。
 


次候<土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)>

 

強い陽気を受け土の中の水分がじっとりむし暑くなる時期
このような蒸し暑さのことを「溽暑 (じょくしょ)と言い、晩夏の季語になります。
  
 

末候<大雨時行(たいうときどきおこなう)>

  
梅雨が明け、猛暑続きの日々が終わると、台風の季節の到来。
もくもくと立ち上がる入道雲から、突然の雷や夕立も多くなります。

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