うつわのこと 第1回「萩焼」

うつわのこと 第1回「萩焼」

 

 

 

 

長きにわたり茶の湯の世界で珍重されてきた萩焼。

萩焼は使い込むほどに変化し、うつわの絶妙な色の移ろいは、うつわと共に歩んできた証。

現代では、茶の湯の世界だけでなく日常使いで家庭の食卓を彩り、時を経るごとに釉薬の色を変えていく「萩の七化け」は、長く使うことの喜びや大切さを教えてくれます。

  

 

 

 

 

萩焼の産まれた萩市は、山口県の北部に位置し、市北部は日本海、東部は島根県に接しています。

毛利輝元公が萩城を築いて400年余、城下町のたたずまいが今日まで継承され、今も「江戸時代の地図がそのまま使えるまち」として世界文化遺産として登録されています。
幕末には、吉田松陰、高杉晋作をはじめ、19世紀末の世界史の奇跡といわれる日本近代化の礎を築いた多くの人材を育て輩出したことから、「明治維新胎動の地」としても知られています。

 
 
 

萩市は城下町だけでなく、美しい海岸線、国指定名勝の長門峡など、海・山・川などすばらしい自然にも恵まれています。そして、そんな歴史と土地によって育まれた日本屈指の焼き物。伝統的工芸品「萩焼」。


萩焼は、主に茶の湯の道具として親しまれてきました。素材である土の風合いを充分に活かし、絵付けもほとんどないため、飾り気はないけれど味があり、安心するような温かみを感じる焼き物です。

  
 

 

  

 
<萩焼の歴史>
 

萩焼の歴史は安土桃山時代の1592年(文禄元年)、豊臣秀吉の朝鮮出兵に遡ります。当時、朝鮮出兵は別名「やきもの戦争」と呼ばれるほどに茶の湯の文化がもてはやされ、朝鮮半島から連れ帰られた陶工の李勺光・李敬の兄弟が、17世紀初頭に萩城下東方の椿東松本地区に御用窯を開いたのが始まりでした。
そのため、当初は朝鮮半島の高麗茶碗に似ており、手法や形状も同じものを用いていたとされています。坂家の三代までを古萩といい、萩焼の黄金時代とされ、後に兄弟はそれぞれ別々の流派を生み出しました。


 
<茶の湯の文化とは?>
 

「茶の湯」あるいは「茶道」は、茶をふるまう文化であり、日本が誇る伝統文化のひとつです。織田信長や豊臣秀吉の茶頭として仕えた「千利休(せんのりきゅう)」が極限まで無駄を省く「わび茶」という茶の湯の一様式を追求・完成させ、総合芸術へと高めました。「侘びの美意識」を反映した「茶庭」とよばれる庭園様式も確立し、落ち葉も自然の風景の一つとして取り入れる自然な美を追求しました。

 

 
▲千利休が作庭したとされる京都「直中庭(じきちゅうてい) 
 

 

その後、時代の変化の中で萩焼は一時衰退し、窯の数も減少してしまいます。その間も休雪が休雪白と呼ばれる独特の作風を確立するなど中興し、また、十二代坂倉新兵衛は萩焼を全国に広く知れ渡らせました。やがて、明治時代の茶の湯人気の再燃により、富裕層や女性を中心に茶道を嗜む風潮が強まり、萩焼は再び息を吹き返します。

萩焼を特徴付ける伝統的な茶陶(茶道用陶器)の人気が高まる中で、置物・装身具や日用雑器など、これまでにない多様な陶器づくりが行われていきます。
そうして、茶の湯の世界では古からの茶人の好みや格付けとして、『一楽二萩三唐津』と謳われるほどの器として知られるようになりました。

 

 

  

 

<七化け-ななばけ>

 

萩焼には、使い込むことによって生じる「萩の七化け」というものがあります。

萩焼の土は粒が荒く、低温で焼くため締まりが少ないのが特徴です。そのため、細かな隙間が沢山あり、そこにお茶やお酒が染み込んで使い込むほどに色合いが変化していくのです。 

 

 
 
 
 

器を使い込むうちに陶器の表面の釉薬に「貫入」という細かいひび割れが入り、その貫入に茶しぶなどの色がしみ込んでいき色が変化していく様子を「七化け」と表現します。

 


この七化けは「茶慣れ」とも呼ばれ、茶人は古くからその変化の様を楽しんでいました。そうした「侘・寂」に通じる風情を感じられるその温かみこそ、根強い人気の理由と言われます。

  

<萩焼のお手入れ方法について>

 

萩焼は「七化け」器の色彩が変化することを魅力とする一方で、手入れを怠るとカビが生じてしまうこともあるため注意が必要です。
萩焼は低温で焼かれるため、焼締が少なく土が柔らかい仕上がりとなります。それゆえ、吸水性が高く、保温・保冷効果があると言われる一方で、脆く漏れやすく、臭いなどがつきやすいとも言われます。

 

使い続けるうちに隙間が埋まり、唯一無二の味わいが現れるとともに漏れることは無くなりますが、漏れが気になる場合には、片栗粉やお米をお湯で薄めた液に浸し、乾燥させる工程を繰り返すことで漏れが治まります。

また、使い始めには半日くらい水にひたしておくこともおすすめしています。 その後、十分に乾燥させてから使うのがポイントです。

また、カビの予防には、定期的に煮沸消毒することをおすすめしています萩焼は水気を吸収しやすいため、普段の完全に乾燥させてから、収納するようにしてください。

萩の七化けを楽しみながら、自分だけの器を育てていくことが、萩焼の一番の醍醐味なのです。

 

 

 

萩焼ブランド「陶の杜」

 
当店で取り扱う、萩焼ブランド「陶の杜」は、萩市街が眺望出来る街の東方、田床山の麓あたりに陶房を構えます。
シンプルで日常に使いやすい優しいデザインと共に、萩焼の柔らかなぬくもりが感じられるラインナップが揃います。萩焼の中でも、土味を生かした厚手の奥深い味わいを感じさせる「陶の杜」作品は、使っていく日々の中でさまざまな表情を楽しんでいただけるうつわとして、お気に入りの一枚になることでしょう。

 
 
 
▲ブランド【陶の杜】
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