二十四節気 第15番【(はくろ)】
朝夕には涼しい風が吹き、心地よい虫の声が聞こえてくる頃。
暑さが和らぎ、穀物が実り始めます。
【白露】とは、露が降り、白く輝くように見える頃という意味。
夜の気温がぐっと下がって空気中の水蒸気が冷やされ、水滴となり、葉や草花につくようになります。それが露(朝露)です。
日中はまだ残暑が続いていますが、朝晩は冷えるようになり、朝露が降りる始める時期をあらわしています。
季節は少しずつ移り変わり、「小さい秋」を見つける機会も多くなっていきます。
それでは、【白露(はくろ)】の時期に行われる行事や文化をご紹介いたします。
1.重陽の節句・・・9月9日
菊の薬効によって健康を願う日。
3月の桃の節句や5月の端午の節句とともに、五節句のひとつとされています。
重陽の節句は、別名、「菊の節句」と言われるように、秋に美しく咲く菊の花を愛でながら、邪気を祓い無病息災を願います。
「菊酒」を飲み「栗ご飯」を食べるのが風習。
菊酒は、菊の花を漬け込んで香りを移した日本酒のこと。菊酒を嗜み、秋に旬を迎える栗を使ったご飯を食べ、健康を祈ります。
また、重陽の節句の飾り物には雛人形があります。
桃の節句でもないのに「雛人形?」と驚かれる方もおられますが、この風習を「後の雛(のちのひな)」と呼び、長寿の願いを込めて再び飾るという江戸時代から伝わる行事になります。
雛人形は高価なだけに、3月に片づけた雛人形を約半年後となる9月(重陽の節句の頃)に表に出し、虫干しすることで痛みを防ぐといった理由もあります。雛人形は重陽の節句から約一ヵ月ほど飾ります。
近年では、≪人生100年時代≫と言われる中で「健康寿命」というキーワードから、【重陽の節句】と共に、元気に長生きしたいという願いを込めて、年を重ねた自分のために雛人形を求める「後の雛」が注目を集めています。
2.<中秋の名月>十五夜
白露の期間では、<中秋の名月>十五夜があります。
十五夜は、お月見・名月・仲秋の名月などと呼ばれ、古来から観月の好時節(絶好期)とされ、月下に酒宴を張り・詩歌を詠じ・すすきを飾り、月見団子・里芋・枝豆・栗などを盛って、神酒を備え月を眺めて楽しんだと言われています。
また、昔は月の満ち欠けによって、おおよその月日を知ることで農事を行っていました。そのため十五夜の満月夜は祭の行われる大切な節目でもありました。
仲秋の名月を鑑賞する風習は、中国では唐の時代からと言われており、日本へは平安時代の貴族の間に取り入れられ、武士や町民へと次第に広まって行ったとされています。
その時代、1年を通して最も月が美しい時期であるとされていたことから、平安時代の貴族たちは、中秋の名月に月を眺めて和歌を詠む「観月の宴」を開いて楽しみました。
農民の間では農耕行事と結びついて、収穫の感謝祭としての意味を持ち、仲秋の名月は別名「芋名月」とも呼ばれるように、里芋など芋類の収穫儀礼であったことに由来します。年中行事の一つとして、長く伝承されて来ました。
「実りの秋」と言われるように、中秋の名月を過ぎたころから多くの食材の収穫の時期となります。大地の恵み、自然の豊かさに感謝しながら、お月見を楽しみましょう。
3.彼岸の入り
▼<お彼岸>については記下をご覧ください▼
秋分の日(秋分日)は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」国民の祝日とされています。
元々、彼岸は宮中の大きな行事として春分の日は「春季皇霊祭」として、秋分の日は「秋季皇霊祭」として大切にされていたため、法律の改正で【春分の日・秋分の日】という名前になっても、【お彼岸】として風習を継承し、祝日に指定されています。
【 白露 】の頃、七十二候では下記のように表されています。
初候 第四十三候「草露白 (くさのつゆしろし)」
草花の上に降りた朝露が白く涼しく見える頃。夏から秋への変わり目になります。野の草に降りた朝露が白く光って見える頃となりました。朝晩の気温が下がる日によく見られ、秋の季語にもなっています。
次候 第四十四候<鶺鴒鳴(せきれいなく)>
チチチチッと秋を知らせてくれる鶺鴒の声が響きわたる頃。