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初正月のお祝い

 

初正月を迎える赤ちゃんはお祝いとして、男の子には、健やかでたくましく成長してほしいという願いを込めて「破魔弓」、女の子には魔除け、厄払いのために「羽子板」を飾る風習があります。
 

古来より、年末年始や節句などの季節の変わり目に「邪気祓い」や「厄除け」の行事が多いのは、この時期に『鬼門(きもん)』から鬼(邪気)が出てきて悪さをするため、病気になったり災厄が起こったりすると考えられていたからです。そこで、生まれて間もない赤ちゃんが無事にその時期を越せるように、初正月に羽子板や破魔弓を贈り「子どものお守り」とするようになりました。

成長と幸福を祈る文化、初正月。

産まれてから大人になっても楽しめる文化として、
いつまでもお祝いをお楽しみいただけますように。

 

 

 

▼【初正月の男の子】のお祝いはこちら▼

男の子の初正月
  • 1.初正月と数え年

     

     
    古来より、初正月が特別に扱われるのは、初めてのお正月ということだけでなく、赤ちゃんにとって生まれて初めて歳を重ねる日と考えられていたからです。

    現在の一般的な年齢の数え方は「満年齢」ですが、昭和24年頃までは「数え年」という数え方が主流でした。

     

    「数え年」では、生まれた日を「1歳」とし、「お正月を迎えた日に1歳年を取る」という捉え方をするため、当時は初正月が誕生日の意味でも捉えられていました。初正月では「2歳の誕生日」ということになります。出生時を「数え1歳」として、元日を迎える度に年齢を加算していく、年の数え方になります。

    現在、日本では基本的に生まれた時点の年齢を0歳とし、以後誕生日を迎えるたびに1歳を加算す
    「満年齢」で年齢を数えます。

    それは、生活環境が現代のように衛生的ではなく、医療環境が充分整っていないことや、栄養面においても貧しい時代に、赤ちゃんが無事に生まれたとしても、成人することはおろか、1歳まで生きるのが大変でした。
    そのようなことから、無事に初正月を迎えられるのは大変喜ばしいことであり、また、そのような時代では、できるだけ長く生きた証として、亡くなった際のお位牌には満年齢で記載することが現代でも残る風習です。


    伝統行事の「七五三」や「長寿の祝い」などは、「数え年」で行う祝い事となりますが、現代では数え年・満年齢のいずれで祝ってもよいとされていることが多いです。


  • 2.羽子板の由来・歴史

     

     羽子板は子どもの無病息災や健やかな成長を願う「お守り」として、生まれた赤ちゃんが初めて迎える初正月に飾られます。

     

    羽子板の歴史は、室町時代に宮中で新年を祝い女性同士で羽根つきをして遊んでいたことが始まりと言われています。

    年の初めに突く羽根つきは、ただの遊びではなく「邪気祓い(じゃきばらい)」や「厄除け」の意味がありました。羽根つきをしている時の音や、羽根を落としてしまった時に顔に塗られる墨は「鬼が嫌う」とされ、羽根をつくことで「邪気を跳ね(羽根)除けて、今年も無病息災で元気にいられますように」と願いました。 

     

     

    宮中では次第に、羽根つきに用いていた羽子板を「邪気祓い」や「厄除け」として女性に贈る縁起物・飾り物となります。

    年の節目には飢餓などの災厄が起こったり病気になったりするのは、「邪気(鬼)」のせいと信じられており、このような邪気祓いの儀式や、縁起物のお飾りなどが非常に大切にされたのです。

    また、本来の羽子板では、羽先の玉は「無患子(むくろじ)」と言う木の種が元に使用されています。無患子には「子供が患わない」という意味も含まれており、羽子板の羽の形はトンボに見立てられています。
    トンボが蚊を食べる益虫であることから(蚊は疫病を運ぶと知られています)、お正月に羽根をつくと、夏になっても蚊に食われることがないと信じられてきました。


    こうして、羽子板は子どもの無病息災や健やかな成長を願う「お守り」として認知され、生まれた赤ちゃんが初めて迎える初正月の贈り物として飾られます。

  • 3.羽子板は誰が贈るの?

     

      

    羽子板は母親の実家(祖父母)から贈るのが一般的とされています近年は結納をしない夫婦も増えていますが、昔の日本では、結婚には嫁ぎ先の家が結納金を、嫁ぐ家が嫁入り道具を用意するのが一般的な習わしでした。その為、羽子板以外にも、お宮参りの晴れ着や雛人形、鯉のぼりなど、子どもの成長をお祝いするお飾りのほとんどは嫁入り道具として扱われていたのです。

     

    ◆時代の変化と共に◆ 

     

    近年では、核家族化やライフスタイルの変化が進み、しきたりにこだわりすぎず柔軟に考える親御さんが増えています。両家でお金を出し合うケースもあれば、男親側が用意することもありますし、両親に頼らず自らがお金を出して購入するケースもあります。
     

  • 4.飾る時期・しまう時期

     

    12月13日~1月15日 

    (正月事始め~小正月)

     

    日本の風習に、毎年12月13日には、新年の歳神さまを迎える準備を始める日『正月事始め』として雑節で決められています。
    お正月準備と言えば、門松やしめ縄を用意したり、煤払いやお節の準備をしたりすること。その中に羽子板や破魔弓などの正月飾りを飾ることも含まれています。
    そして、1月15日の小正月(こしょうがつ)までの約1ヵ月間、飾るのが一般的です。
     

     
    ◆雛人形やと一緒に飾る羽子板◆

     

    地域やご家庭によって、雛人形やと一緒に羽子板をお飾りするご家庭もおられます。
    そうした場合は、小正月に一度しまい、雛人形を飾るタイミングで再度、飾るのが良いです。

     

    基本的に、季節のものを飾りっぱなしにするのは良くないとされていますが、縁起物ですので一年中飾りっぱなしにしても問題はないと言われています。
    しかし、一年中飾るという意味ではない場合は、やはり節目に合わせて、そのつど飾ったり、片づけたりすることが望ましいと思います。

    その時期の習わしや節句の本質は、その季節の生活を整えること・生活を切り替えていくことを軸に考えられています。その時々の季節や文化を感じながら、あらためて家族や自分自身の身体を気遣ったり、生活を見直すタイミングとして、季節を過ごしていただけたらと思います。 

  • 5.羽子板は何歳まで飾るの?

     

    羽子板は何歳まで飾るのかなどは特に決まりはありません。
     

    昔は、「子どもが成長するまでのお守り」として飾っていたので、現代の「成人式」にあたる「元服(げんぷく)」を行う15歳まで飾るのが一般的でした。

    現代でも、元服の年齢に合わせて15歳まで飾るというご家庭もありますし、成人式を行う18歳まで飾るというご家庭もあります。それ以外には、学校生活の節目や七五三などの行事を節目と考えるご家庭もあります。

    いつまでという決まりがないので「その人の成長お守り」と考え、成人した後や結婚してからも飾り続ける方も多くおられ、縁起物や季節のお飾りとしても飾っていただけます。